過疎地といわれる田舎の小さな村はどう生き残るか

著書(過疎化といわれる田舎の小さな村はどう生き残るか)

令和2年2月10日発行
著者 沼 尚司

1_平成の大合併は、本当に正解だったのか。

行政サービスは、どの市町村であっても、本来、公平でなければなりません。都市部と田舎で、市と町村とで、住む場所によって、住民が受ける行政サービスに差があってはならないものです。そのため、国は地方交付税を交付し、地方自治体の最低限度の行政サービスを保証し、その差がなるべく生じないようにしています。・・・

2_首長になる人の意識改革がなければ、行政は変わらない。

地方自治体の首長の権限は集中しており、首長は何でもできます。たとえ違法行為であっても、住民にバレなければ、適正な行政行為として見逃されます。問題なのは、そういう現実を住民は誰も知らされていないということです。・・・

3_議会が変わらなければ、田舎の町村の行政は変えられない。

平成31年4月の、統一地方選挙で、無投票で議員が決まる市町村が数多くあり、テレビ報道等で、議員のなり手不足の問題が再三取り上げられましたが、そんなことより、もっと大きな問題があります。それは、今の地方議会は、特に田舎の町村の議会は、行政と議会が馴れ合いになり、議会の本分である、行政のチェック機能を全く果たしていないことです。・・・

4_今、上杉鷹山のような村長を必要としている。

上杉鷹山は藩主自らが率先して節約した生活を行い、透明な会計を大事にした。今の地方自治に当てはめると、村長、自らが率先して、人件費や施設管理費等の行政運営費の節約に努めるとともに、今の行政の財政状況や会計を隠すことなく、村民に説明し、明らかにすることを大事にする。・・・

5_行政は職員がするものです。

「休まず、遅れず、働かず」という役人の格言みたいなものが当たり前のように言われています。これは、欠勤とか遅刻さえしなけれ、働かない方がいいよと、言うものです。それは、いくら、一生懸命働いて、たとえ成果を出したとしても、公務員は給料が上がるわけでもないし、ボーナスが増えるわけでもありません。また、成果を出したからと言って昇進することもありません。今の公務員が出世するには、人事権を持つ人に取り入って、忖度する以外にないからです。・・・

6_田舎の村独自の地域支え合い制度、互助会制度の創設

今の社会は、自分さえ良ければ良いという個人主義が蔓延し、全てのことをお金で解決する時代になってしまったようです。全てのことをお金で解決しようとする社会では、地域のつながりも、人とのつながりも、親戚付き合いまでもが負担とでしか考えられないようです。・・・

7_村が庄屋さん、不動産屋さんになる。

お金が全ての今の社会で、お金のある都市部の市町村とお金のない田舎の村が、同じ土俵で対等に戦えるわけがありません。だから、土俵を変えて戦う必要があります。お金本位制の土俵ではなく、田舎の小さな村は、土地本位制の土俵で戦うべきだと思います。バブルがはじけるまでは、土地はお金よりも安全で有利な資産として、ある意味、土地本位制のところがありました。・・・

8_田舎の小さな村が生き残るためにしなければならない具体的方策

田舎の小さな村が生き残るための具体的方策については、その村の特性によって変わっ
てきます。そこで、私の住む大桑村を事例として、どのような具体的方策をすべきなのか
について記述します。・・・

9_県職員であった経験から、今の地方自治への提言

今はもう県はいらない。県を廃止し、県を国(総務省)の出先機関とする。今の県の財源を、市町村の財源に移行すれば、地方交付税を削減できる。町村を廃止し、市のみにし、町村はその市の出張所として存続させる。新たな地方の市町村の財源として、市町村の山林面積とその市町村の山林保有面積に応じて、国が山林管理のための補助金又は地方交付税を交付する。地方の市町村が有利な第3の市町村の財源を創設する。・・・